今野浩喜の「タダのファン目線記」ユニフォームデザイナー[後編]
突撃インタビューシリーズ 今野浩喜 vs ユニフォーム担当デザイナー [後編] 今野さんがタダのファン目線でクラブスタッフに逆取材を敢行! 前回に引き続きアンダーアーマー(株式会社ドーム)のデザイナー・平野さんをお迎えしてお送りします。早くも来シーズンのデザインについて、今野さんからある提案が……。
前編はこちら
生きがいは海外サッカー1人旅
今野「もう関係ない話をしますけど、平野さんの趣味は何ですか?」
平野「仕事にもつながるんですけど、海外サッカーを見に行くことです」
今野「へぇ……。どこに見に行くんですか?」
平野「基本はヨーロッパですね。もともとバルセロナが好きで見に行ってたんですけど、最近はイギリスのロンドンの方に。現地でチケットを取れる試合を見に行く感じです」
今野「英語しゃべれるんですか?」
平野「いや、しゃべれないです。何となくです」
今野「何となくで、いけるもんですか」
平野「何となく『ウ、フ〜ン』って言ってるといけちゃいます(笑)」
今野「結構、勇気ありますね」
平野「そうですかね」
今野「俺とか、言葉が分からないところに行くのは絶対にムリです」
平野「そうかぁ……。海外に行くことを楽しみに日々、仕事を頑張っています」
今野「バルセロナは、好きな選手とかいたんですか?」
平野「2011年のクラブ・ワールドカップでバルサがサントスと試合をしたのを見ました。当時は、プジョルにもう……。そこから、お金を払ってでも確実に面白いサッカーを見たいと思ってバルセロナに旅行に行くようになりました」
今野「プジョルかぁ。いいですよね、小さいけどめっちゃ強いですもんね」
平野「安心感がすごかったです」
今野「バルサが好きってことは、あのパスサッカーが好きだったわけですよね」
平野「そうですね。なので、一番好きだったのはグアルディオラがいたころで……」
今野「マスチェラーノとかを急にセンターバックの真ん中に置いたりしたときですねか。ってことは、ロナウジーニョはもういないか」
平野「いませんでしたね。そこから、メッシ、スアレス、ネイマールの3人がバリバリにやっていたころまでは、しょっちゅうバルセロナに行っていました」
今野「何で急に離れたんですか?」
平野「バルセロナの街が良過ぎて、あまりにリラックスして浮世離れしちゃうんですね。仕事に戻るのがしんどいので、ロンドンで刺激を受けつつという方向にシフトしました」
今野「すげぇな……現地で見るって。何泊くらいするんですか?」
平野「最近は10日ぐらいしか行けないんですけど……」
今野「ぐらいって日数じゃないですけどね」
平野「ありがたいことに、まとめた夏休みを取らせていただけるので。ですが、一時期は3カ月とかバルセロナに行っていたこともありました」
今野「はぁ……。だって、スペインなんてスリに遭うんじゃないですか?」
平野「遭いました! やられちゃいました(笑)」
今野「すごいですね。言うことがボケにならないですね」
平野「すみません」
今野「どんな感じで?」
平野「体の前にウエストポーチを下げて、袋の持ち手にもフックもつけてたんですけど、気がついたら内ポケットの財布が……」
今野「前に下げてたバックの、その中の財布がなくなるんですかっ」
平野「私も、どんだけボーッとしてるんだって話ですけど、これで取られたならある意味、仕方ないなって思えるくらい見事でした」
今野「確かに、6、7割は自分のせいと思えるような気がしますね」
平野「気づけなかったとすごく落ち込んだんですけど……、1回やっちゃいました」
ユニフォーム譲りましょうか?
今野「他に好きなこととかあります?」
平野「サッカーとかスポーツに関連していないことを探すのが難しくて……」
今野「それはすごいですね」
平野「ユニフォームを集めるのとかも好きですし」
今野「いつごろから集めているんですか?」
平野「実際に集め始めたのは最近なんですけど、見るのはずっと好きで。インターネットで昔のユニフォームを羅列したサイトを見たりしています」
今野「そうなんだ」
平野「最近、見てるだけじゃ我慢できなくなって、集め始めました」
今野「俺のを売ってあげましょうか?」
平野「以前、古い大宮アルディージャのユニフォームを着てらっしゃったじゃないですか。あのモデル、弊社にサンプルが見つからないので……」
今野「えっ、ないんですか?」
平野「出し入れできない倉庫にはあるかもしれないですけど……」
今野「ちょっと待っててください。……これですね」
平野「あっ、それですっ」
今野「これが御社にないんですか?」
平野「そうなんです」
今野「ずさんですね、管理が(笑)」
平野「あははは……。すみません(笑)。さらっと探したところ見つかりませんでした」
今野「俺でさえ持ってるのに」
平野「もっと本気で探してみます」
今野「ユニフォーム、海外も全部ひっくるめてどこのが好きですか?」
平野「決して自社だからというわけじゃないんですけど、ザンクトパウリが大好きでして」
※ザンクトパウリとのサプライヤー契約は2020シーズンにて終了
今野「ちょっと待っててください……」
平野「あぁぁ……」
今野「これはアンダーアーマーと関係ないですけど」
平野「チームがカッコいいですからね」
今野「どうですか、俺だいたいの持ってるでしょ」
平野「すごいですね。まさか、ザンクトパウリをお持ちとは」
今野「ザンクトパウリは、チームが強い弱い関係なく、こうすれば人気が出るだろうって、見本のようなチームですよね」
平野「そのとおりだと思います」
今野「茶色のチームってないですよね」
平野「それでドクロですからね」
今野「ドクロだったら、普通は黒を選ばないですか?」
平野「何で茶色なんだって」
今野「そうなんですよ。まぁ、ザンクトパウリの試合は見たことないですけどね(笑)。今度、大宮アルディージャのユニフォームにドクロとか入れちゃえばいいじゃないですか」
平野「バレないように(笑)」
今野「あははは……」
平野「バレたら、デザイナーとして使っていただけなくなります」
今野「そっか。でも、細かく入れるより、ものすごいデカいドクロならバレないでしょ」
平野「何かしら勝ち星に影響が出たらと思うと、恐ろしくてできません」
今野「リスのドクロとか(笑)」
平野「ワル大宮みたいな感じでやったら、面白いかもしれないですね」
今野「確かに、(ジョー・キング・)カラスコのような感じでね」
平野「ダークでロックな大宮も、カッコいいかもしれませんね」
今野「それでも、いったん提案してみたらどうですか?」
平野「そうですね。3案目くらいで」
今野「カッコよければ、否定もしづらいじゃないですか」
平野「参考にさせていただきます」
どうぶつの森でユニフォームを再現
今野「もはや、オレンジじゃなくてもいいと思いますよ」
平野「いやぁ……、それは怒られちゃうなぁ」
今野「やっぱり、そういう指定はあるんですか?」
平野「オレンジに関しては毎年、突き詰めていっています」
今野「オレンジでも若干変えていますよね」
平野「はい。年々、改良は加えています」
今野「今度の新しいオレンジは、オレンジって名前のオレンジなんですか?」
平野「ロゴで指定されているパントーンカラーがターゲットにはなっているんですけど、今年に関しては柄が入っているので、昨シーズンまでとは見え方が少し違うと思います」
今野「うんうん。あの〜、『あつまれ どうぶつの森』ってゲームをやってるんですが、そこで自分の服をデザインできるんですよ」
平野「そうなんですね」
今野「俺、大宮アルディージャのユニフォームをものすごく細かく作ったんです」
平野「そんなこともできるんですね」
今野「そうなんですよ。で、もちろん粗いドットだからロゴマークとか難しいんですけど、忠実に再現しようと思えば思うほど、薄い柄とか頭にきましたね(笑)」
平野「そうだったんですね」
今野「でも、作ったときの達成感はありましたけどね。縫い目とか、こうなってんだって、こんなに服を見ることないだろうってくらい見ましたから」
平野「今後は、そういうところまで見られていると心して、作っていきたいと思います」
今野「(しばらく探して)これなんですけど、分かりますか?」
平野「あっ、柄が入ってる。すごいっ」
今野「ねっ」
平野「すごいですっ」
今野「アンダーアーマーのロゴとかが、難しいんですよ」
平野「マーキングのバランスとかすごいですね」
今野「どうぶつたちも、こうやって勝手に着てるんですよ」
平野「うわ〜、すご〜い」
今野「Jリーグのマークを作るのが大変でした」
平野「これドットで作られたんですよね?」
今野「ドットです! ホントやってみてください(笑)」
平野「やってみます」
今野「めっちゃ大変ですから(笑)」
平野「ちゃんとスポンサーもついてる(笑)」
今野「全部ドットですからね。ユニフォームのサンプルの絵を見ながら作りましたよ」
平野「新しいユニフォームは襟のところが2色になっているので、さらに細かいドットで作っていただければ……」
今野「襟が2色? 何でそんなことするんですか」
平野「すみません(笑)。配慮が足りませんでした」
今野「ゲームのこと、もうちょっと考えてください。ベタっとしたオレンジ一色とか」
平野「今後はドットで作れるかを、一つの基準にしたいと思います」
今野「まず自分でドットで作ってみて(笑)」
平野「はい(笑)」
今野「やってください。丸いのはダメですからね、全部カクばったやつで」
平野「そうすると、チェッカーモードに戻る感じですかね」
今野「チェックもデカ目じゃないと……。俺がまず作って渡しましょうか?」
平野「原案としていただいて……」
今野「はい(笑)。そうですね」
平野「よろしくお願いします」
今野「じゃ、お時間ということで。何か言い残したことはありますか?」
平野「今年のレプリカユニフォーム、クラブの皆さんと一生懸命に作りました。ぜひ、お手に取って見ていただければと思います」
今野「はい。どうもありがとうございました」
平野「ありがとうございました」