今野さんが“タダのファン目線”でクラブ関係者らに逆取材を敢行するシリーズ企画から一転、今野さんが行きたい場所・やりたいことをただただリポートするという、迷走するコーナーとなった本連載。今回はフットサル体験の後編! 大宮銀座通り商店街の会長・栗原さんとFM NACK5「VAMOS! Orange & Navy」パーソナリティーの國領浩子さんと一緒に、オレンジコートで普及部の椎名コーチと白井コーチにフットサルを教えてもらいました。
試合前の雑談タイム
今野「いま教えてもらった練習を、実戦で、瞬時に、体が勝手に動くようになるまでは、ほど遠いんだろうなと思います」
椎名「そこは、すごく難しいですね。自分一人で完成する感じじゃないので。個サルだとその日集まった人、初めましての人なんかと一緒にやるから。『チョンドン』と言っても、何それって場合もありますからね」
栗原「共通理解が必要ですね」
椎名「そうなんです。5人にそれがあって初めて成り立つスポーツなので、フットサルは練習が必要ですね」
今野「さっきのランフェイントの場合も、縦に抜けたとき、そのまま縦にパスを出される可能性がありますからね」
椎名「ただ、縦でパスを受けられるのなら、それが一番いい。サッカーもフットサルも、相手の背後を突くことで、よりゴールに近づける」
今野「自分のつもりとしては、練習でやったばかりだから戻ることしか考えてない」
椎名「でも実際はディフェンスがつくので、ついてこなければ縦で、ついて来たら戻って受ける。そこの判断が必要になりますね」
國領「なるほどね」
栗原「難しいな」
今野「オフサイドがないぶん、前線の選手(ピヴォ)はより自由に動く感じですか」
椎名「そうですね。動きながらボールを受ける位置を見極める必要がある」
今野「ってことは、フットサルを90分やるのは不可能ですね」
椎名「ムリだと思います。低速度、中速度、高速度と言うと、サッカーのように低速度で歩いているような時間は、フットサルにはないです」
今野「あぁ……」
椎名「プレースピードが速くて、クイックネスがあって、攻守の切り替えがも早い。それこそバスケットボールとかアイスホッケーみたいな感覚ですね。だから、1セット2、3分という感じですかね、選手の入れ替えは」
栗原「フレッシュじゃなくなってきたら、まるっと代えるんですか?」
椎名「だいたい4人1セットなんで、マイボールのときにサッと代わりますね。もちろん、チームによっては一人ずつ代えるところもありますけど」
栗原「プレー中は代わらない?」
椎名「代わる場合もあります。交代で出る選手がビブスを持って交代ゾーンにいるので、リスクがなければその瞬間に。そうやって、いろいろな局面で共通認識が必要なんだけど、その難しさをみんなで乗り越えたときに楽しさを実感できる」
全員「なるほど~」
椎名「サッカーよりも約束ごとは多いので、緻密な感じがありますね」
國領「でも、1回覚えちゃうと楽しい」
今野「キーパーは、サッカーとの違いはあるんですか?」
椎名「すごく難しいと思います。近いし、トーキックで蹴ってくるし」
今野「体育館だから、痛いですよね」
國領「サッカーよりも変態度が高いと思います(笑)」
椎名「そうですね(笑)。ハンドボールと一緒で、体で止める感じですね」
栗原「そうかぁ、大変だなぁ」
椎名「一番リアクションを求められるので、身体能力が高くないとできない」
栗原「身長は?」
椎名「サッカーほど大きくなくても大丈夫ですね。海外にも小さい選手がいますし」
今野「例えば、曙くらいの選手を置いておけば……」
國領「あははは……」
椎名「ゴール前で壁を作っちゃう感じですよね。大きければ入らないですからね」
栗原「確かに」
椎名「それじゃ、ゲームいってみますか」
(試合開始。今野さんがトーキックで先制点! 練習したファー詰めの形から栗原さんが同点弾! 國領さんが決めて2-1。終了間際にオウンゴールで2-2となり、試合はPK戦へ。サドンデスまでもつれる展開の末、最後は栗原さんのシュートが決まって試合終了!)
フットサル体験を終えて
今野「(感想を語り合うのは)日陰でいいですか?」
全員「あははは……」
今野「かなりキツかった……」
椎名「3分でも、心拍数はずいぶん上がっていると思います。國領さんは上手ですね」
國領「最近は……全然やれてなくて。たまに個サルに遊びに行ったりしてますけど。今日みたいに最初にルールを教えてもらったことはチョロッとありますけど、あらためて聞くと、適当にやってたんだなってことを、再確認しました(笑)」
今野「うんうん」
國領「個サルに行くと、この方はサッカーをやってた人、フットサルをやったことがある人っていうのは、すぐに分かりますよね」
椎名「ですね。リーグに出ているようなチームは、決まった言葉でプレーしていたり、人の動きで自然と連動したりしています。そこに入った場合は、ここに動くとか」
國領「一番後ろの人が縦に抜けたりすると、あぁフットサルやってるんだって」
栗原「あるんですね」
椎名「自分が動いて、空いたところに他の人が入ってきてというパターンが、より明確なスポーツだと思います。フットサルは。サッカーもそうですが、人数が少ないぶん瞬時にみんなが連動してやるっていうところが醍醐味かもしれません」
國領「みんなで崩せた! って感動がある。個サルでもそれができるときがあるんです。初めましての人だけど、そうだよね、そこに走るよねっていう。それがわかって2回目にパスがつながったときは、すごく楽しい」
椎名「イメージを共有して、連動してゴールが決まったとき、イェ~イって。入れられたチームは2、3点やられたガッカリ感がある。うちでも個サルをやってますけど、初めての人でも楽しめるのが、いいところだと思います」
今野「最近『スプラトゥーン』をすごいやってて、それと似てるかもしれないですね」
國領「初めましての人とね(笑)」
今野「そう! なんだけど、いますごい守られた、とか。しかも、顔も見てない。その人が持ってる武器とかで判断している」
全員「あぁ~」
椎名「それぞれの特長ですよね。この人はこれが得意だから、俺はこっちをやるとかね。確かに、そういう部分は似ているかもしれないですね。みんなでゴールを狙うところと、みんなで地面を塗るってところと(笑)」
今野「でも、『スプラトゥーン』は疲れないですね」
國領「あははは……」
栗原「ホント、フットサルは疲れました。(やっていた)バレーボールとは全然違います。バレーは違う能力を求められるので。もっと狭くて、上下動の動きですからね。だから、まったくついていけませんでした」
椎名「でも、試合では練習通りの『ファー詰め』で決めていました」
栗原「あれは気持ちいいですね、確かに」
國領「そうですよね。いまここにいます、パスが来ます、決まりますってところ。あれは楽しいですよね」
栗原「前回はなんせ10分でケガをしたので。すごく面白かったです」
今野「練習の直後だったから、『あぁ、やってんな』と思いながら見てました(笑)」
栗原「いまはまだ頭で考えながらやってますけど、体にしみ込んで勝手に動くともっと面白くなるんだろうなって」
椎名「意識したものが無意識にできるようになって、ゲームのなかで相手の動き、味方の動き、スペースを見ながら自然とそこに動くってなったときに、初めて連動したプレーが成立するんだと思います」
今野「ディフェンスも教わりたいですね」
椎名「そうですね。1対1で負けたら終わるスポーツなので、そこは負けちゃいけない。守備に関して言えばサッカーと一緒の部分もあります」
今野「なるほどね。しかし、本当にフットサルやってたときは3人しか来なくても2時間やり続けてたのに、それがもはや1分半で限界が来ました(笑)」
栗原「ふふふ……。いつぶりですか?」
今野「1年と1カ月くらいですね。素人のくせして練習なしに10年くらいやっていたので、基本がなってないのに変な癖がついていることがわかりました。ムダな癖がついていて、年齢的に矯正もできないんだろうなって」
椎名「いや、そんなことはないと思います。そこがわかったのはいいことだと思うので、『スプラトゥーン』をやらずに、週1回ここに来て(笑)」
今野「いや、『スプラトゥーン』のおかげで、周りを見る癖はつきました」
椎名「首を振って周りの動きを見るところは同じですね(笑)」
今野「ダメ出しがほしいですね」
椎名「いや、ダメなところはありませんでしたよ。上手でした」
今野「本当ですか(笑)。どこが良かったですか?」
椎名「左利きなので……」
今野「そこですか(笑)」
椎名「ボールの持ち方、ちゃんと斜めに置いて蹴ってるところは良かったですよ。あとはキックの姿勢とか。もっと練習すれば強いボールを蹴られるので、武器になると思います」
今野「最近、足がどんどん細くなってきているので」
椎名「今日はゴールも決めてたじゃないですか」
今野「あれも、トーキックの癖が出ちゃっただけで。あとは、みんなの動きを見ていて、みんな練習でやったことをやろうとしているから、ゴールがすごく空いてた。これ打てば入るなって(笑)」
全員「あははは……」
今野「ずるいことをしたな、と思います」
國領「入ればいいんです(笑)」
椎名「ゴールが空いてたらゴールを狙うのは、原理原則。一番大事なところですから」
栗原「いい大人になって、人からものを教わって、それを実践するのは面白かったです」
國領「そうですね」
今野「うん。ありがとうございました!」
構成:粕川 哲男