【識者コラム】ファンは世界に7億5,000万人。F1という“特別”なスポーツ

4月2日にお台場でF1イベント「Red Bull Showrun x Powered by Honda」が開催され、杉本健勇選手、カプリーニ選手、ガブリエウ選手が参加しました。今回は、イベントの内容を踏まえ、モータースポーツ中継にも携っている笹川裕昭さんに、あらためてF1というスポーツの影響力や魅力について紹介していただきました。



ファンは世界に7億5,000万人。F1という“特別”なスポーツ


お台場を沸かせたスペシャルなイベント

今季からレッドブル体制となったRB大宮アルディージャ。先日、杉本健勇、カプリーニ、ガブリエウの3選手が、東京・お台場で開催されたレッドブルのイベント「Red Bull Showrun x Powered by Honda」に参加した。

このイベントは、4月4日から6日にかけ、三重県にある鈴鹿サーキットで開催されたモータースポーツの最高峰レース、フォーミュラ1・F1日本グランプリ開催に併せ行われたイベントだ。今回は、F1に参戦するレッドブルのチーム、ドライバーが参加し、本物のF1マシンを使って、通常は走ることができない、お台場の特設コースを駆け抜けるという特別な試みで、F1ファンをはじめ、集まった観衆を沸かせるイベントになった。


【真剣な目でマシンに見入る選手たち】

レッドブルが、国内外問わず、さまざまなスポーツ、トップアスリートをサポートしているのは周知の事実だが、その中でも特に力を入れているのが、F1を頂点とするモータースポーツだ。

特にF1では、1990年代後半からチームスポンサーという形でかかわりはじめ、2005年には独自のチーム「レッドブル・レーシング」を立ち上げた。そして、これまでに、8度のドライバーズ・チャンピオンシップ(シーズンで最多ポイントを獲得したドライバーに与えられるタイトル)、6度のコンストラクターズ・チャンピオンシップ(シーズンで最多ポイントを獲得したチームに与えられるタイトル)を獲得している。ちなみに、レッドブル・レーシング所属のマックス・フェルスタッペン選手は、2021年から昨季まで、4年連続でドライバーズ・チャンピオンに輝くなど、近年のF1をリードするとともに、F1の歴史に名を刻む特別な存在だ。

今やスポーツの枠を大きく超えた存在に

そんなF1は、今、過去に類を見ない爆発的な人気を獲得し、世界中の人々を魅了するイベントとして注目されている。ある調査では、F1ファンは、全世界で7億5,000万人を超えるとも言われている。

時速300kmを優に超える異次元のスピード感や迫力など、レースとしての魅力はもちろんだが、ここ最近の人気を後押ししているのがNetflixの人気番組「Drive to Survive」だ。ドライバーの内面をリアルに映し出したドキュメンタリーで、これまでF1を見たことがなかった人々にも、レースだけではない、人間模様、喜怒哀楽といったさまざまな魅力が届き、F1人気を高める要因になっている。

そして、その人気は、強い影響力を持つ、世界的なエンターテインメントのスターやビジネス界のリーダーたちにも波及していて、彼らは、毎レース、VIPとして招待され、F1の舞台が、そうしたセレブリティたちの社交場にもなるなど、もはやスポーツの枠を大きく超えた存在になっている。

だから、その舞台で戦う、限られた20名のアスリート=レーシングドライバーは特別な存在で、世界中のファンから常にその動向が注目されている。ちなみに、日本人唯一のF1ドライバーで、先日、日本グランプリ直前に、レッドブル・レーシングに昇格した角田裕毅選手は、日本人アスリートのInstagramフォロワー数でみると、メジャーリーガー・大谷翔平選手(934.2万人)に次ぐ、日本人2位となる310.8万人(4月12日時点)のフォロワーを獲得するなど、日本はもちろん、世界中のファンからも支持される存在なのだ。


【イベント内でリフティングをする角田選手】

また、角田選手に限らず、自国グランプリでは、母国に英雄として扱われ、多くのファンがサーキットに詰めかける。今回の日本グランプリでも、3日間で、延べ26万6,000人を動員するなど活況だった。

高まりを見せるF1人気、そして、その舞台で戦うF1ドライバーたちは、多くの注目と期待、さらに、責任やプレッシャーを背負いながら走り続けている。

そして今回、お台場で開催されたイベントに大宮の選手たちが参加し、ファン・サポーターがその様子を楽しむことができたのも、レッドブル体制になったことによる大きな恩恵だ。

大宮のファン・サポーターには、F1をはじめとしたいろいろなスポーツに触れつつ、「レッドブル」の名を掲げて戦うアスリートたちの動向にぜひ注目していただきたい。


笹川 裕昭(ささがわ ひろあき)
埼玉県さいたま市出身。フットメディア所属のフリーアナウンサー。Jリーグでは、J2、J3の実況を担当。また、モータースポーツ中継にも携わり、F1やF2、WEC(世界耐久選手権)、スーパーフォーミュラなど、国内外のレースを実況。

FOLLOW US