明治安田J2リーグ 第6節
2025.3.23 [SUN] 14:00 NACK

大宮

  • 80' オリオラ サンデー
  • 83' 杉本 健勇
2 - 0
0 前半 0
2 後半 0

水戸

試合経過
初黒星を喫するも、目線はブレない。 ホームで真価が問われる90分
前節の鳥栖戦で今季初黒星(0●1)を喫した大宮が、敗戦を糧として、どう水戸を迎え撃つのか。チームの真価、さらには今季のJ2リーグにおける立ち位置が見えてくる一戦だ。

2位の今治に勝点12差をつけて優勝した昨季のJ3リーグで、得点を奪えないまま敗れたのは第13節の松本戦(0●2)のみ。連敗は一度もなかった。上位進出のカギは黒星を重ねないこと。その大切さは、誰もが身に染みて分かっている。

鳥栖戦後、長澤徹監督は「点は水物ですからね。チャンスがゼロだったら少し考えますけど、そういうわけではない。力の入れ具合とか、パスが合う、合わないとか、そこの質を上げるために練習を続けるしかない」と前を向いた。杉本健勇は「終わってみれば、もっとアグレッシブにいけばよかったと思いますが、試合中は守れる自信がありました。連敗しないよう、次に向かってしっかりと準備したい」とコメント。小島幹敏は「次の試合に向けてはゴール前の質をもっと上げないといけないし、前からプレッシャーをかけて襲いかかりたい」と語った。

大丈夫。やるべきことや方向性に対する疑問は、一切ない。市原吏音は「僕だけじゃなくて選手全員、次の試合に気持ちを向けているはずだし、違う方向を見ている選手は一人もいないと思います」と自信を見せる。実際、週半ばのトレーニングは強度も質も高く、ここまでのところはメンバーに絡めていない選手も含め、全員が懸命な姿で士気を高めていた。

水戸戦に向けて長澤監督が語った「ホームは強度とかの面で決して劣ってはいけない場所なので、強く意識していきたい」という言葉のとおり、ファン・サポーターの力も借りながら、試合開始から積極的に前へ出て勝点3をつかみたい。

(文:粕川哲男)

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監督コメント
前節の鳥栖戦は不運な失点からあのような展開になりましたが、それでも勝点を持って帰るというのが上に上がるための条件というか、ああいったゲームでは大事なところなので、やることをはっきりさせて今週はスタートしました。今シーズン初めての敗戦になりましたが、そのあたりは謙虚にやっていますし、最初から言っているように自分たちは下から上がったチーム、19位スタートのチームなので、勝った負けたで一喜一憂していてもロクなことはないので、1試合1試合を重ねていってフィニッシュをどう終えるかということがすべてだと思っています。

勝っても負けてもというのは常に考えていてそこはそれほど大きな問題ではなくて、入りよりもフィニッシュの方がリーグ戦では大事なので、そこに向けてやるべきことをはっきりさせて進んでいます。試合から試合に臨むしかないので、後ろのこと前のことを考えていてもどうしようもないので、今だけに集中しています。それは昨シーズンからずっとやていることなので、そこは引きずったり過剰に自信を持ったりするのではなくてというのは心得ているところで、全体で理解できていると思います。

コンパクトさとか、全体で出ていって全体で守るというのは大きなテーマです。こないだのゲームでもそうですが、ディフェンスというのは点が取り切れない、前線が差し切れないときに崩れないことが大きな支えになるので、そのために前線もディフェンスに参加しなければいけないですし、そういう部分ではゲームコントロールは安定していたのですが、あとは決定力を示さなければいけないので、序盤なのでうまく糧にしながら、自分たちの課題としながら進んでいければという解釈をしています。

ここまでのリーグ全体としての印象としてJ2、J3含めてですが、我々と昨年J3で戦ってJ2に上がってきた今治や富山も一生懸命やっていますが、リーグ全体としてすごくレベルの差が詰まってきていると思います。去年のカップ戦でも上のカテゴリのチームに勝つケースがありましたが、やっぱり監督がしっかり準備してきますし、2回目の対戦ときはほぼお互いにやりたいことできないような状況でゲームが始まるので、その点はすごくレベルが上がっているかなと思います。ただ、京都でどちらも経験したのですがJ2からJ1の差が大変なんだろうなと。そこにいってみないとわからないですが、今度は決定力の差が出てきますし、決定的に止める力がグンと上がってきます。ですので全然軽視しているわけではないのですが、差は詰まってきているなという部分と、我々でもちゃんと力を出していけばやれるなという部分と、ただ、やっぱりリスペクトされたときの戦い方とかもきちっとしなければいけないですし、先週のようなゲームでアウェイであろうと最低でも勝点1は取って帰れる力がないと、おそらく上には届かないというのははっきり見えたと思います。

水戸は本当にソリッドで力強くてスピードがあってすごく困難なチームですが、強度はうちも臨んでいるところなので、しっかりぶつかっていって勝点を重ねたいと思っています。ホームは強度とかそういう面ではやっぱり劣ってはいけない場所なので、そこは強く意識してまたゲームに入っていきたいと思います。ここからはルヴァンカップも含めて3連戦になりますが、怪我人も戻ってきていますし、しっかり全体で準備して臨めればと思います。この間のトレーニングマッチも負けてチーム丸ごと負けているので、そこも含めてこの3連戦で一丸となるチャンスだと全員でとらえていますし、しっかり準備して臨みたいと思っています。
選手コメント
ここまでリーグ戦5試合で4勝1敗で、チームとしてやるべきことは試合の中で出せているのでそこはいいかなと思います。戦術的な部分であったり、何をしなければいけないかということを一人ひとりが理解して、それを試合で表現できていると思います。前節の鳥栖戦でも、負けてしまいましたが表現はできていたのではないかと思います。

次はホームでの試合になりますが、いつもNACKでやるときはサポーターの力をすごく感じています。サポーターの皆さんの力も借りて、連敗することなく、勝ちに持っていければと思います。

個人としては結果がまだ残せていないので、アシストというよりは点を取れるように普段から自主練習も含めて取り組んでいます。

ここからは連戦でルヴァンカップも入ってきますが、チームとして底上げができると思いますし、この3連戦で3連勝できるようにやっていきたいです。
前節の鳥栖戦は、試合の入りから自分たちが少し深めに構える状態が続いていて、相手からするとアタックゾーンでプレーできるということで、自分たちのボールの受け渡しの部分も少しできていなかったのかなと思います。相手がスタートから勢いを持って入ってきたこともあるかもしれないですが、それを自分たちが受け入れてしまったのでそこで結構自由にボールを回されてしまいました。でも、回されたからといって相手にゴールチャンスを与えていたわけではないですし、しっかり守りながらも自分たちがやるべきことはしっかりやっていたので、そういう意味では自由にさせてしまったことが原因だったのかなと思います。後半に入ってからは自分たちがしっかりと圧倒して引分けや勝利できてもおかしくなかったとは思うのですが、そこに関しては自分たちの課題、勉強材料としてしっかり修正していきたいと思っています。

自分たちの目標である昇格に向けて、連敗してしまうとやっぱり遠ざかってしまいますし、連敗しないということは大前提です。今週の試合はホームですし、自分たちでしっかり挽回できるチャンスがあるので、そこに向けて取り組んでいます。

ここから3連戦になりますが、みんな準備はできていると思います。あとは(長澤)徹さんがメンバーの調整をしてくれますし、自分たちは3連勝することしか考えていません。
メンバー

スターティングメンバー

78'
78'
67'
67'

控えメンバー

78'
78'
70'
67'

監督

長澤 徹

スターティングメンバー

GK 21 松原 修平
DF 6 飯田 貴敬
DF 35 飯泉 涼矢
DF 5 知念 哲矢
DF 2 大森 渚生
MF 23 津久井 匠海
83'
MF 24 山﨑 希一
83'
MF 15 長尾 優斗
MF 17 芦部 晃生
64'
FW 25 多田 圭佑
70'
FW 7 渡邉 新太
70'

控えメンバー

GK 34 西川 幸之介
DF 3 大崎 航詩
70'
DF 36 板倉 健太
MF 10 前田 椋介
MF 39 山本 隼大
64'
MF 44 奥田 晃也
83'
MF 82 川上 航立
FW 9 安藤 瑞季
83'
FW 11 草野 侑己
70'

監督

森 直樹
試合詳細
14 シュート 9
11 GK 10
7 CK 4
8 直接FK 15
1 間接FK 1
0 PK 0
試合データ

主審

川俣 秀

副審

塚田 智宏

副審

小出 貴彦

第4の審判員

小林 健太朗

入場者数

11,759人

天候

晴、無風

ピッチ状態

全面良芝

気温/湿度

24.4℃/20%

HIGHLIGHT

サンデーの速攻、杉本の豪快ボレーで接戦を勝ち切る
明治安田J2第6節は、水戸を相手に迎えるホームゲーム。開幕4連勝のあと、前節は初黒星。ねじを巻き直して臨む一戦だ。春らしい温かい天気に恵まれたが、気温は24度を越え、日なたのピッチでは暑さを感じる中での勝負となった。

開始5分は、互いに堅実な守備からカウンターを狙い合ったが、少しずつ互いにボールを保持して攻め込む形に変わった。最初のチャンスは、9分に訪れた。茂木から右から中央へパスを送ると、中央の細かい連係で時間を作り、杉本のラストパスに走り込んだ泉がシュートを放ったが、相手GKに阻まれた。

攻撃で押し込んだ後は、積極的に相手ボールを奪いに行った。水戸が中間ポジションを使って攻撃の組み立てを図ってきたため簡単には奪えなかったが、自陣ではサイドに押し込み、中央への侵入を防いだ。19分には相手のCKからミドルシュートを連続して打たれる場面があったが、体を張ったブロックでしのいだ。

押し込まれる時間がやや長くなった25分過ぎからは、ガブリエウ、アルトゥール・シルバのボール奪取がチームを救った。攻撃回数が減っても、チームは積極性を失わなかった。32分には、相手がGKまでパスを戻したところでショートパスのコースを完全に塞ぎ、シルバがハイプレスでボールを奪う場面もあった。

我慢の甲斐があり、前半の終わり頃には試合の流れが一変。猛攻を仕掛けた。42分には泉が左からラストパスを流し、藤井がシュート。43分には小島のクロスを杉本が左足でボレーシュート。44分にはゴール前の混戦から藤井が左足でシュートと決定機が続いたが、いずれも相手の好守に阻まれた。

後半も先にサイドから攻め込まれたが、泉のクロスや左CKからのガブリエウのヘディングシュートなどで攻め返した。66分、泉がカットインから下口がクロス。ゴール前でシルバがボレーシュートを放つ好機があったが、相手にブロックされた。

一進一退の展開に変化を付けたのは、選手交代だった。67分、長澤監督はオリオラ。サンデーとカプリーニを同時に投入。さらに中山も入れて勝負に出た。77分には、サンデー、カプリーニの2人によるカウンターアタックでシュートまで持ち込んだ。78分には、安光、関口を投入し、さらに攻撃のギアを上げた。

そして80分、バックパスを受けたガブリエウがロングフィードを送ると、サンデーが相手の背後へ抜け出し、前に出てきたGKをかわすシュートをたたき込んだ。アシストをしたガブリエウは「前半を終えて(藤井)一志が、相手はラインを上げるタイミングが早いから(裏の)スペースを狙えると言っていた。話し合ったとおり。カットボールだと真っ直ぐになってしまう。少し巻いた(ゴールに向かう)ボールで相手を越える高さを意識した」と手ごたえを語った。

均衡を破った影響は大きく、チームは勢いに乗った。83分、左CKの流れから、安光の抜け出し、中山の縦パスで相手を食いつかせ、バックパスから中山がクロス。相手GKが弾いたボールが高く上がって落ちてくるところを「前半に決定機もあって、決めたいと思っていた。迷わなかった」と話した杉本が豪快な右足ボレーでゴールへたたき込み、勝利を大きく手繰り寄せる追加点を挙げた。攻撃の起点として機能している杉本だが「周りに点を取らせる働きは続けつつ、どん欲に(自分でも狙って)いきたいと思っていた」と話したとおり、この試合では積極的にシュートを狙い続けていたが、その意欲がスーパーゴールにつながった。

拮抗した試合だったが、2-0で勝利。前節の敗戦を引きずらず、勝利にこだわる姿勢が実った。リーグ戦の次節は徳島でのアウェイゲームだが、中2日でYBCルヴァンカップ1回戦のいわき戦を挟み、さらに中2日での連戦となる。総力戦で3連戦を乗り越え、チーム力を増していきたい。

(総評:平野 貴也)

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監督コメント
サポーターの方が12,000人ぐらい集まってくれたと聞いてます。いつものことですけれども、本当に最後にサポーターの方のゴールに入れさせてもらったというか、そういう感覚でいます。本当に感謝しています。

ゲームの方は、水戸が強度が高くてパワーもあるというのはここまでのゲームで確認していましたので、前半はちょっと立ち上がりでやり合いになりながらも、少し相手の優位な時間もあったのかなと思いつつ、だからといって何かが起こっているわけではなかったので、我慢して目が慣れてくればどうにかなるかなと思って観ていました。

前半20分ぐらいを過ぎてから、(藤井)一志が後ろを取ってクリアされたあたりからペースを握って何回もゴールに迫っていったのですが、松原選手がすばらしかったですね。こういう展開になってしまうと結構こじ開ける作業になるんだろうなと思っていましたが、前節鳥栖にちょっと不運なPKを取られてそれをこじ開けることができなかったので、ハーフタイムは「課題からは逃げられないな」ということで、いつまでも追いかけてくるので、しっかりこれを勝ち切るということをまず目線を合わせていきました。

そういう中で戦いながら交代選手が出てきて、自分の個性を生かしてオリオラ・サンデーが一つ開けてくれたのと、あと(杉本)健勇のゴールはゴールであれだったのですが、その前に途中から出た安光がペナルティエリアの奥を取りにいって、(中山)昂大がそこを怖がらずに通していって、その折り返しのクロスのこぼれを健勇が決めたので、交代した選手の勇気というか、そこが非常にこのゲームのポイントだったのかなと思います。

やっぱり勝ち切るというのは本当に大変なことで、選手にとってはすごく難しいゲームだったと思います。ただ、ゲーム前にも言ったのですが、我々は去年何度もこういうシーンを勝ち切ってきたチームでそこのプライドはありますし、ルヴァンカップとかを観ていても去年所属したJ3のチームがやっぱりすごく力がある中では、なんとか彼らがこじ開けるんじゃないかと思って観ていました。ただ、サポーターの力がある前提なので、こういうのをアウェイでもしっかりできるようになればと思っています。

ルヴァンカップでしっかり勝つことがチーム全体のリカバリーだと思っていますので、2日間準備して次のゲームにまずしっかり臨みたいと思います。
選手コメント
0-0の状態での途中交代だったので、監督からは「まずは守備」ということは言われていて、そこは頭に入れて試合に入りました。でもやっぱり自分の気持ちも自分の特徴もゴールに迫っていくところが持ち味だと思うので、そこは特徴も出したい気持ちとうまくバランスを取ってプレーしていました。

僕自身は少しずつチームのやり方とかにアジャストできてきている部分もありますし、でもまだまだな部分もあると思っています。練習でも練習試合でも状態が良くなっている中で今日こうやって出番を与えてもらえたので、自分が持つ力をすべて出そうと思っていました。その上で勝てたのですごく良かったなと思います。

途中出場の選手が結果を残せているのは、本当に良い練習ができているからだと思います。みんなが本当に真面目にひたむきに頑張っていて、交代で出た選手がゲームを動かしていく、しかもそれが開幕から何試合も続いてるわけで、それがなぜかと言われたら日頃の成果ですし、それが日常になっているのかなと思います。

次はルヴァンカップなので、分からないですけどおそらくここまで苦しい時間を過ごしてる選手が試合に出る可能性が高いのかなと思いますし、自分もその1人ですし、そういった人たちの思いをピッチの上で表現したいなと思います。相手もおそらくそういうメンバーで来ると思いますし、その思いの部分とか気持ちの部分は絶対負けないように臨みたいと思います。
今日は日曜日で自分の名前のSUNDAYにゴールを決められて、しかもそれがサポーターの前だったのですごくうれしかったです。

得点シーンは、自分はガブリエウからボールが来るのを信じていました。熊本戦のときはポストに当ててしまったので、今日は落ち着いてちゃんと決めないといけないなと考えながら打ったので、ちゃんと落ち着いてゴールできました。

相手の背後を取るプレーは練習でも意識していますし、みんながそこで自分のことを信じてくれているし、自分もボールが出てくるなと思ってしっかり信じてそこに入ったらちゃんとボールが来た感じです。

チームの雰囲気は最高ですし、自分自身はケガから復帰してここからだと思います。これからももっと自分のポテンシャルとか、もっと成長できる部分とか、そういうことをもっとピッチで出していきます。
みんな本当に集中を切らさず、最後まで戦えたゲームだったと思いますし、みんなで掴んだ勝利だなと思います。前節負けてしまって悔しかったので、僕自身も良い準備してきましたし、練習でもみんな準備できていたので、思い切ってできました。

前半も決定機ありましたし、自分で決めたいなと思っていたので、追加点のシーンは思い切って振り抜きました。良いシュートが決まって良かったなと思います。

チームがうまくいくようにとか、周りに点取らせる働きをもちろん続けつつ、自分自身も貪欲にいきたいなと思います。周りもうまく使いつつ、僕も使われつつ、ゴールのところでこだわってやっていきたいなと思います。まずはチームのために力を出し切るっていうところはもちろん第一ですけど、ゴールもガンガン狙っていきたいと思います。

今日もサポーターがたくさん入ってくれるというのを試合前から聞いていました。そういう中で僕たちが良い試合を、楽しいと思ってもらえるワクワクするような試合をすれば、もっと盛り上がると思いますし、もっとお客さんも増えていくと思うので、そういった意味でも良いゲームをしたいと思っていましたし、毎回たくさん入ってほしいなと思います。

連戦になりますけど、本当に誰が出てもまずは「勝つ」。ルヴァンカップも含めて「3連勝する」。そこしか考えていないです。すぐに試合があるので、良い準備をして勝てるようにしたいと思います。
フォトギャラリー

(写真:早草紀子)

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