第92回 天皇杯 3回戦
2012.10.10 [WED] 19:00
熊谷スポーツ文化公園陸上競技場
大宮
- 45' 長谷川 悠
- 54' ズラタン
- 87' ノヴァコヴィッチ
3
-
1
1
前半
0
2
後半
1
福岡
- 66' オズマール
試合経過
メンバー
スターティングメンバー
GK 1 北野 貴之
DF 30 渡部 大輔
DF 2 菊地 光将
DF 3 河本 裕之
DF 22 下平 匠
MF 13 渡邉 大剛
MF 6 青木 拓矢
MF 23 金澤 慎
80'
MF 8 東 慶悟
FW 11 ズラタン
88'
FW 32 長谷川 悠
72'
控えメンバー
GK 21 江角 浩司
DF 34 片岡 洋介
MF 5 カルリーニョス
MF 7 上田 康太
MF 9 チョ ヨンチョル
MF 16 金久保 順
FW 19 ノヴァコヴィッチ
監督
スターティングメンバー
GK 23 河田 晃兵
DF 4 和田 拓三
DF 5 古賀 正紘
DF 6 山口 和樹
DF 21 尾亦 弘友希
MF 7 末吉 隼也
MF 8 鈴木 惇
MF 10 城後 寿
57'
MF 19 成岡 翔
70'
FW 11 高橋 泰
57'
FW 15 坂田 大輔
控えメンバー
GK 25 笠川 永太
DF 29 堤 俊輔
MF 3 岡田 隆
MF 14 木原 正和
FW 16 石津 大介
FW 9 サミル
FW 39 オズマール
監督
試合詳細
8 | シュート | 9 |
---|---|---|
12 | GK | 10 |
8 | CK | 6 |
18 | 直接FK | 12 |
3 | 間接FK | 0 |
0 | PK | 0 |
試合データ
主審
吉田 寿光
副審
相楽 亨
副審
金井 清一
第4の審判員
福岡 靖人
入場者数
1,212人
天候
曇、弱
ピッチ状態
全面良芝乾燥
気温/湿度
20.1℃/67%
リーグ戦につながる勝利で天皇杯4回戦へ駒を進める
ここ5試合のリーグ戦を負けなしの2勝3分、4試合連続無失点(天皇杯2回戦・JFLのブラウブリッツ秋田戦を含めると3勝3分、5試合連続無失点)と安定感を見せているアルディージャは、スコアレスドローに終わったJ1第28節の名古屋戦から中3日、熊谷スポーツ文化公園陸上競技場で天皇杯3回戦を戦った。
対戦相手は、37試合を消化したJ2で22チーム中17位につける福岡。しかし、格下と侮ることはできない相手だ。古賀正紘、坂田大輔、成岡翔などJ1経験者を数多く擁し、アルディージャから期限付き移籍中の木原正和もベンチ入りしたチームを、ベルデニック監督は「個人の能力が高い選手もいて攻撃的なチーム」と分析している。
負ければ終わりの一発勝負。日本最大のトーナメントマッチは、暑さの和らいだ熊谷で19時ちょうど、福岡のボールでキックオフされた。
「ここまでの良い流れ、雰囲気を壊さないような戦いをしたい」(ベルデニック監督)という意気込みで臨んだアルディージャは、序盤こそフィニッシュまで持ち込めない焦れた展開を強いられたが、20分を過ぎたあたりから徐々にリズムをつかみ始める。
ディフェンスラインからの組み立て、両サイドバックの下平と渡部のオーバーラップ、青木のサイドチェンジ、金澤の前線への飛び出し、ズラタンのポストプレーなどを起点に福岡のゴールへと迫る。21分にはペナルティアーク付近でクサビのパスを受けた長谷川が、素早いターンから右足を振り抜きファーストシュートを放った。
それでも、決定機には至らない。しっかりとボールをキープしながら相手の穴を探り、気をつけるのは福岡のカウンターだけという展開が続くが、なかなかチャンスを作れない。渡邉のラストパスを受けた東の狙い済ました右足、ゴール正面で得たズラタンのFKも、枠を捉えることはできなかった。
得点の気配が感じられないまま迎えた前半終了間際、しかし、セットプレーから待望の先制点が生まれる。渡邉のCKは味方に合わなかったものの、相手の中途半端なクリアをつなぐと、長谷川が体勢を崩しながらも処理し、左足を伸ばしてゴールへ流し込んだ。「イメージ通りターンできたし、いい時間帯に決められて良かった」と本人が振り返った先制点のあと、福岡の2本のCKを長谷川が立て続けにヘディングでクリアすると主審のホイッスルが鳴り、1-0でハーフタイムを迎えることになった。
後半の立ち上がりは、1点を負う福岡に攻め込まれる。しかし、鈴木のCKに飛び込んだ高橋のヘッドがポストを叩き、成岡のスルーパスを受けた坂田のループシュートがクロスバーを越えると、アルディージャに好機が訪れる。54分、左サイドで長谷川の股抜きパスを受けた東がドリブルでボールを運び、鋭いクロスを送るとズラタンがニアサイドで反応。右足で貴重な追加点を突き刺した。
2点のリードを奪ったアルディージャは、危なげなく試合を進める。ピッチの至る所で正確にパスを回し、相手を揺さぶりながら得点の機会をうかがう。とりわけ、東と下平は絶妙なコンビネーションで再三に渡って左サイドを切り崩した。しかし66分、守備陣の一瞬の連携ミスを突かれて連続無失点が途切れてしまう。アルディージャにとって公式戦6試合ぶりの失点となったのは、交代出場したオズマールの粘りの一発だった。
1点差に詰め寄られたベルデニック監督は、長谷川に代えてノヴァコヴィッチを投入。背番号19を最前線に置き、1・5列目に東、2列目の右にズラタン、左に渡邉という布陣を取った。すると圧力を受けた福岡の最終ラインが下がり気味になり、バイタルエリアが空き始める。そのスペースを渡邉、東、さらには、ボランチの位置から飛び出した青木が突いて、追加点の期待が高まっていく。
そして、試合終了間際の87分。左サイドの下平のクロスのこぼれ球を渡部がつなぐと、最後はノヴァコヴィッチが右足で冷静にプッシュした。それは同点を狙った福岡の士気を消沈させると同時に、アルディージャの勝利を決定づける価値ある3点目だった。
天皇杯4回戦進出を決定したこの日の3-1の勝利は、10日後のJ1第29節、新潟との大一番に向けて弾みとなるものだった。ベルデニック監督は「攻撃でいいフィーリングをつかむことができた。3点を取って勝利できたことで、自信を持って新潟戦に挑める」と語り、守護神の北野は「久しぶりに失点しましたが、気持ちを引き締めるという意味ではポジティブに捉えることができる。それよりも2-1とされてからしっかり3点目を奪い、最後まで僕たちのサッカーを貫いて勝ちきれたことの方が大きい」と自信をのぞかせた。
(総評: 粕川 哲男 /写真:山田 勉)
対戦相手は、37試合を消化したJ2で22チーム中17位につける福岡。しかし、格下と侮ることはできない相手だ。古賀正紘、坂田大輔、成岡翔などJ1経験者を数多く擁し、アルディージャから期限付き移籍中の木原正和もベンチ入りしたチームを、ベルデニック監督は「個人の能力が高い選手もいて攻撃的なチーム」と分析している。
負ければ終わりの一発勝負。日本最大のトーナメントマッチは、暑さの和らいだ熊谷で19時ちょうど、福岡のボールでキックオフされた。
「ここまでの良い流れ、雰囲気を壊さないような戦いをしたい」(ベルデニック監督)という意気込みで臨んだアルディージャは、序盤こそフィニッシュまで持ち込めない焦れた展開を強いられたが、20分を過ぎたあたりから徐々にリズムをつかみ始める。
ディフェンスラインからの組み立て、両サイドバックの下平と渡部のオーバーラップ、青木のサイドチェンジ、金澤の前線への飛び出し、ズラタンのポストプレーなどを起点に福岡のゴールへと迫る。21分にはペナルティアーク付近でクサビのパスを受けた長谷川が、素早いターンから右足を振り抜きファーストシュートを放った。
それでも、決定機には至らない。しっかりとボールをキープしながら相手の穴を探り、気をつけるのは福岡のカウンターだけという展開が続くが、なかなかチャンスを作れない。渡邉のラストパスを受けた東の狙い済ました右足、ゴール正面で得たズラタンのFKも、枠を捉えることはできなかった。
得点の気配が感じられないまま迎えた前半終了間際、しかし、セットプレーから待望の先制点が生まれる。渡邉のCKは味方に合わなかったものの、相手の中途半端なクリアをつなぐと、長谷川が体勢を崩しながらも処理し、左足を伸ばしてゴールへ流し込んだ。「イメージ通りターンできたし、いい時間帯に決められて良かった」と本人が振り返った先制点のあと、福岡の2本のCKを長谷川が立て続けにヘディングでクリアすると主審のホイッスルが鳴り、1-0でハーフタイムを迎えることになった。
後半の立ち上がりは、1点を負う福岡に攻め込まれる。しかし、鈴木のCKに飛び込んだ高橋のヘッドがポストを叩き、成岡のスルーパスを受けた坂田のループシュートがクロスバーを越えると、アルディージャに好機が訪れる。54分、左サイドで長谷川の股抜きパスを受けた東がドリブルでボールを運び、鋭いクロスを送るとズラタンがニアサイドで反応。右足で貴重な追加点を突き刺した。
2点のリードを奪ったアルディージャは、危なげなく試合を進める。ピッチの至る所で正確にパスを回し、相手を揺さぶりながら得点の機会をうかがう。とりわけ、東と下平は絶妙なコンビネーションで再三に渡って左サイドを切り崩した。しかし66分、守備陣の一瞬の連携ミスを突かれて連続無失点が途切れてしまう。アルディージャにとって公式戦6試合ぶりの失点となったのは、交代出場したオズマールの粘りの一発だった。
1点差に詰め寄られたベルデニック監督は、長谷川に代えてノヴァコヴィッチを投入。背番号19を最前線に置き、1・5列目に東、2列目の右にズラタン、左に渡邉という布陣を取った。すると圧力を受けた福岡の最終ラインが下がり気味になり、バイタルエリアが空き始める。そのスペースを渡邉、東、さらには、ボランチの位置から飛び出した青木が突いて、追加点の期待が高まっていく。
そして、試合終了間際の87分。左サイドの下平のクロスのこぼれ球を渡部がつなぐと、最後はノヴァコヴィッチが右足で冷静にプッシュした。それは同点を狙った福岡の士気を消沈させると同時に、アルディージャの勝利を決定づける価値ある3点目だった。
天皇杯4回戦進出を決定したこの日の3-1の勝利は、10日後のJ1第29節、新潟との大一番に向けて弾みとなるものだった。ベルデニック監督は「攻撃でいいフィーリングをつかむことができた。3点を取って勝利できたことで、自信を持って新潟戦に挑める」と語り、守護神の北野は「久しぶりに失点しましたが、気持ちを引き締めるという意味ではポジティブに捉えることができる。それよりも2-1とされてからしっかり3点目を奪い、最後まで僕たちのサッカーを貫いて勝ちきれたことの方が大きい」と自信をのぞかせた。
(総評: 粕川 哲男 /写真:山田 勉)
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選手コメント
FW 32 長谷川 悠
Q:先制点は難しいシュートだったのではないか?
ロングパスに相手が競らずに、うまく自分のところにボールが落ちてきました。イメージ通りにターンできて良かったと思います。前半はなかなかゴールできませんでしたが、いい時間帯に点が取れたことで、その後の試合運びも楽になったのではないかと思います。
Q:2点目も自身の粘りから生まれたものだったが?
うまくあそこでボールを奪い、相手の股を抜いてチャンスメークできました。自分でもすごくいいプレーができたと思っています。
Q:次のJ1リーグ戦・新潟戦までどのような準備をしたいか?
個人的にはゴールも決めてアピールになったと思っています。次は大事な試合なので、またゴールできるようにしっかりとした準備の上で臨みたいと思います。
ロングパスに相手が競らずに、うまく自分のところにボールが落ちてきました。イメージ通りにターンできて良かったと思います。前半はなかなかゴールできませんでしたが、いい時間帯に点が取れたことで、その後の試合運びも楽になったのではないかと思います。
Q:2点目も自身の粘りから生まれたものだったが?
うまくあそこでボールを奪い、相手の股を抜いてチャンスメークできました。自分でもすごくいいプレーができたと思っています。
Q:次のJ1リーグ戦・新潟戦までどのような準備をしたいか?
個人的にはゴールも決めてアピールになったと思っています。次は大事な試合なので、またゴールできるようにしっかりとした準備の上で臨みたいと思います。
FW 11 ズラタン
Q:自身の得点場面を振り返って。
ストライカーとして、点を取れたことをとてもうれしく思っていますし、少し安心もしています。前のゴールから少し時間が経ってしまったので、私の中に得点したいというモチベーションが強くありました。もちろんチームも得点を必要としていましたし、それに貢献できて非常にうれしいです。
Q:ニアサイドに迷いなく飛び込んで決めたが、狙い通りだったのか?
得点に至るまでのアクションがとてもいいものだったのでゴールできました。ハセから東に渡り、東からいいボールが来たので、私にとってゴールすることはそれほど難しいことではありませんでした。
Q:2トップの一角でのプレーだったが?
前に所属していたチームでもストライカーとしてプレーしていましたし、私にとっては特別新しいことではありません。今回ハセも得点できて、私も得点できて、チームにとって良かったと思います。
Q:スロベニア代表招集を辞退したが、これから大宮にどのように貢献したいか?
代表を辞退したのは、私自身スマートな決断だったと思います。私が100%の状態なら、完全な状態ならチームの助けになれると思っていたからです。今日もいい結果を得られてうれしく思っています。
ストライカーとして、点を取れたことをとてもうれしく思っていますし、少し安心もしています。前のゴールから少し時間が経ってしまったので、私の中に得点したいというモチベーションが強くありました。もちろんチームも得点を必要としていましたし、それに貢献できて非常にうれしいです。
Q:ニアサイドに迷いなく飛び込んで決めたが、狙い通りだったのか?
得点に至るまでのアクションがとてもいいものだったのでゴールできました。ハセから東に渡り、東からいいボールが来たので、私にとってゴールすることはそれほど難しいことではありませんでした。
Q:2トップの一角でのプレーだったが?
前に所属していたチームでもストライカーとしてプレーしていましたし、私にとっては特別新しいことではありません。今回ハセも得点できて、私も得点できて、チームにとって良かったと思います。
Q:スロベニア代表招集を辞退したが、これから大宮にどのように貢献したいか?
代表を辞退したのは、私自身スマートな決断だったと思います。私が100%の状態なら、完全な状態ならチームの助けになれると思っていたからです。今日もいい結果を得られてうれしく思っています。
Q:「攻撃で成長が感じられた」ということだが、相手のクオリティの問題か、攻撃の選手を何名か入れ替えたせいか、どう分析しているか?
これまでの状況を見てみると、ボールは保持しているけれど最終的な局面で問題がありました。なので、しっかりとボールをキープしながら少ないタッチ数でのパスを3本4本とつなぎながら相手のゴールに近づいていこう、ということに今取り組んでいます。まだ相手ゴール前での正しいパス選択、正しいタイミングという面では課題はありますが、トレーニングの成果として、アイディアや最終局面での選択というところでは、これまでよりもいいものが出せたのではないかと思っています。
Q:ハーフタイムに「失点0で試合を終わらせよう」と指示を出しながら、結果的に1失点となったが?
「失点なくゼロで行こう」ということは、しっかりとコンパクトな状況を保ち組織的に守備をすることの延長上に求めたことで、その組織的な守備から攻撃に移っていくことを一番の狙いとして指示しました。
試合の中でミスはつきものです。私の覚えている限りだと、菊地選手のパスが短く、北野選手の対応が遅れたことによって相手のFWにボールを奪われての失点ということでした。前もってこの最終ラインでのミスが起こることがわかっていれば防ぐこともできるでしょうが、こういうミスも試合の中ではあり得るものだと理解しています。
Q:次節のJ1リーグ戦・新潟戦に向けて収穫と言えるようなものはあったか?
攻撃でいいフィーリングがつかめたのではないでしょうか。3得点挙げたこと、それも、勝利をつかみ取ってしっかりと試合を終えたことで、新潟戦でも自信を持って同じようなことにチャレンジできるのではないかと思っています。もちろん、新潟戦では良く組織立った守備が必要になりますし、今日にも増していいパフォーマンスが求められます。ただ、今日勝利したいい雰囲気で新潟戦に挑めること、自信を持って新潟戦に臨めるという意味では非常に良かったと思っています。