第92回 天皇杯 準々決勝
2012.12.23 [SUN] 13:00
熊谷スポーツ文化公園陸上競技場
大宮
- 12' 上田 康太
- 23' チョ ヨンチョル
2
-
3
2
前半
0
0
後半
3
柏
- 59' 澤 昌克
- 83' 増嶋 竜也
- 90+3' 工藤 壮人
試合経過
メンバー
スターティングメンバー
GK 1 北野 貴之
DF 30 渡部 大輔
DF 2 菊地 光将
DF 3 河本 裕之
DF 22 下平 匠
MF 13 渡邉 大剛
70'
MF 6 青木 拓矢
MF 7 上田 康太
MF 9 チョ ヨンチョル
FW 8 東 慶悟
FW 19 ノヴァコヴィッチ
15'
控えメンバー
GK 21 江角 浩司
DF 24 鈴木 規郎
DF 26 村上 和弘
DF 34 片岡 洋介
MF 5 カルリーニョス
70'
MF 16 金久保 順
FW 32 長谷川 悠
15'
監督
スターティングメンバー
GK 21 菅野 孝憲
DF 27 藤田 優人
28'
DF 5 増嶋 竜也
DF 3 近藤 直也
DF 22 橋本 和
MF 20 茨田 陽生
MF 6 那須 大亮
MF 7 大谷 秀和
MF 15 ジョルジ ワグネル
FW 18 田中 順也
54'
FW 19 工藤 壮人
控えメンバー
GK 1 桐畑 和繁
DF 23 渡部 博文
DF 26 福井 諒司
MF 28 栗澤 僚一
MF 30 山中 亮輔
MF 29 水野 晃樹
54'
MF 8 澤 昌克
28'
監督
試合詳細
14 | シュート | 15 |
---|---|---|
12 | GK | 9 |
5 | CK | 5 |
12 | 直接FK | 11 |
3 | 間接FK | 5 |
0 | PK | 0 |
試合データ
主審
西村 雄一
副審
五十嵐 泰之
副審
岡野 宇広
第4の審判員
広瀬 格
入場者数
7,090人
天候
曇、弱
ピッチ状態
全面良芝、乾燥
気温/湿度
11.3℃/32%
国立まであと一歩に迫るも、後半3失点の逆転負け。2012シーズンの戦いを終える
熊谷から国立へ――。アルディージャにかかわるすべての人の合言葉である。
天皇杯の4回戦で川崎と対戦したアルディージャは3点のビハインドを背負いながら、ノヴァコヴィッチ、東の4ゴールで劇的な逆転勝利を手に入れた。公式戦の無敗記録を「14」に伸ばし、国立まであと一歩のところにたどり着いた。
準々決勝の相手は柏。リーグ戦を6位で終えた強豪だが、天皇杯の4回戦ではJFLの横河武蔵野に1-0と苦戦している。ノックアウト方式の天皇杯では、リーグ戦の順位はもはや意味をなさない。勢いではアルディージャが上回っていると言えるだろう。
アルディージャは累積警告で金澤を欠くが、川崎戦の立役者となる上田が先発に入った。青木とのコンビネーションは問題ない。攻撃面での特徴を発揮すれば、ゴールラッシュの再現にも期待がかかる。国立への切符をかけた戦いが、13時に幕を開けた。
守備をベースにするチーム同士の一戦は、慎重な立ち上がりとなった。一方で、攻守の切り替わりが速く、ボールが両者のゴール前を激しく行き来した。
大きな仕事を成し遂げたのは上田だった。12分、左サイドで下平、チョ ヨンチョルとつないだボールをダイレクトでシュート。左足から放たれたボールはGKの頭上を越え、糸を引いたようにゴールマウスに吸い込まれていった。
上田の鮮やかなコントロールシュートで先制すると、さらにアルディージャが攻勢に出た。23分には左からチョ ヨンチョルがクロス。走り込んだ東には合わなかったが、回転のかかったボールは逆サイドのポストに当たり、そのままゴールネットを揺らした。
幸先よく2点をリードしたアルディージャは、その後も集中した戦いを見せた。守備では、FWの澤を投入して厚くなった柏の攻撃を、ブロックを築いて封じ込めた。奪ったボールはすばやく前線に預け、ゴールまでの最短距離を狙った。37分には、カウンターから東がドリブルで持ち込んでシュート。さらに4分後にも渡邉のシュートが相手GKの手を弾いた。オフサイドの判定でノーゴールとなったが、43分には東のタテパスに抜け出した渡邉のシュートがゴールネットを揺らしている。追加点こそならなかったが、攻守にわたって機能したアルディージャが、ゴールラッシュの期待を残したまま前半を2-0で折り返した。
しかし、後半に入って、一気に形勢が逆転する。途中から入った柏の水野に左サイドを突かれ、守勢に回る時間が長くなった。59分にはカウンターから失点。1点差に追い上げられると、その後も容赦なく柏のサイド攻撃が襲いかかってきた。
「相手の攻撃に対して十分な対抗策を講じることができず、1対1やクロスを上げさせるシチュエーションが多くなり、失点を生み出す可能性を相手に与えてしまった」
こう振り返ったのはベルデニック監督だ。徐々に選手間の距離が開き、マークの受け渡しがスムーズにいかなくなった。持ち前のコンパクトな守備が機能せず、試合の主導権も失った。83分、柏の増嶋に頭で決められて同点に。そして延長戦も間近に迫った93分、ついに工藤に決められて逆転を許した。
これまで何度も逆境をはね返してきたアルディージャだが、反撃するには残された時間があまりにも短かった。2-3のまま無情のホイッスル。2012年シーズンの戦いが終わった。
敗れはしたが、シーズンの終盤に見せたアルディージャの戦いは圧巻だった。リーグ戦を11戦負けなしで終え、その間の失点はわずか「4」。天皇杯の川崎戦では、0-3のビハインドから鮮やかな逆転勝利をもぎ取った。ベルデニック監督が目指すサッカーが浸透し、攻撃と守備が見事にかみ合った。
「前半につかんだチャンスを生かせていたら、3、4点目を取ることも可能だった。それだけの点差をつけて前半を折り返していたら、相手の戦う意思を削ぐことができていたかもしれない。しかし、そのチャンスをオフサイドなどで生かすことができなかった。その部分はまだ改善しないといけない。この結果を受け止めて、次は我々が勝者となるべく挑んでいきたい」
そう語ったベルデニック監督の目線はすでに未来を見据えていた。新たなステージへ――。今日この日から、アルディージャの戦いが再びはじまった。
(総評:岩本 勝暁 /写真:早草 紀子)
天皇杯の4回戦で川崎と対戦したアルディージャは3点のビハインドを背負いながら、ノヴァコヴィッチ、東の4ゴールで劇的な逆転勝利を手に入れた。公式戦の無敗記録を「14」に伸ばし、国立まであと一歩のところにたどり着いた。
準々決勝の相手は柏。リーグ戦を6位で終えた強豪だが、天皇杯の4回戦ではJFLの横河武蔵野に1-0と苦戦している。ノックアウト方式の天皇杯では、リーグ戦の順位はもはや意味をなさない。勢いではアルディージャが上回っていると言えるだろう。
アルディージャは累積警告で金澤を欠くが、川崎戦の立役者となる上田が先発に入った。青木とのコンビネーションは問題ない。攻撃面での特徴を発揮すれば、ゴールラッシュの再現にも期待がかかる。国立への切符をかけた戦いが、13時に幕を開けた。
守備をベースにするチーム同士の一戦は、慎重な立ち上がりとなった。一方で、攻守の切り替わりが速く、ボールが両者のゴール前を激しく行き来した。
大きな仕事を成し遂げたのは上田だった。12分、左サイドで下平、チョ ヨンチョルとつないだボールをダイレクトでシュート。左足から放たれたボールはGKの頭上を越え、糸を引いたようにゴールマウスに吸い込まれていった。
上田の鮮やかなコントロールシュートで先制すると、さらにアルディージャが攻勢に出た。23分には左からチョ ヨンチョルがクロス。走り込んだ東には合わなかったが、回転のかかったボールは逆サイドのポストに当たり、そのままゴールネットを揺らした。
幸先よく2点をリードしたアルディージャは、その後も集中した戦いを見せた。守備では、FWの澤を投入して厚くなった柏の攻撃を、ブロックを築いて封じ込めた。奪ったボールはすばやく前線に預け、ゴールまでの最短距離を狙った。37分には、カウンターから東がドリブルで持ち込んでシュート。さらに4分後にも渡邉のシュートが相手GKの手を弾いた。オフサイドの判定でノーゴールとなったが、43分には東のタテパスに抜け出した渡邉のシュートがゴールネットを揺らしている。追加点こそならなかったが、攻守にわたって機能したアルディージャが、ゴールラッシュの期待を残したまま前半を2-0で折り返した。
しかし、後半に入って、一気に形勢が逆転する。途中から入った柏の水野に左サイドを突かれ、守勢に回る時間が長くなった。59分にはカウンターから失点。1点差に追い上げられると、その後も容赦なく柏のサイド攻撃が襲いかかってきた。
「相手の攻撃に対して十分な対抗策を講じることができず、1対1やクロスを上げさせるシチュエーションが多くなり、失点を生み出す可能性を相手に与えてしまった」
こう振り返ったのはベルデニック監督だ。徐々に選手間の距離が開き、マークの受け渡しがスムーズにいかなくなった。持ち前のコンパクトな守備が機能せず、試合の主導権も失った。83分、柏の増嶋に頭で決められて同点に。そして延長戦も間近に迫った93分、ついに工藤に決められて逆転を許した。
これまで何度も逆境をはね返してきたアルディージャだが、反撃するには残された時間があまりにも短かった。2-3のまま無情のホイッスル。2012年シーズンの戦いが終わった。
敗れはしたが、シーズンの終盤に見せたアルディージャの戦いは圧巻だった。リーグ戦を11戦負けなしで終え、その間の失点はわずか「4」。天皇杯の川崎戦では、0-3のビハインドから鮮やかな逆転勝利をもぎ取った。ベルデニック監督が目指すサッカーが浸透し、攻撃と守備が見事にかみ合った。
「前半につかんだチャンスを生かせていたら、3、4点目を取ることも可能だった。それだけの点差をつけて前半を折り返していたら、相手の戦う意思を削ぐことができていたかもしれない。しかし、そのチャンスをオフサイドなどで生かすことができなかった。その部分はまだ改善しないといけない。この結果を受け止めて、次は我々が勝者となるべく挑んでいきたい」
そう語ったベルデニック監督の目線はすでに未来を見据えていた。新たなステージへ――。今日この日から、アルディージャの戦いが再びはじまった。
(総評:岩本 勝暁 /写真:早草 紀子)
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選手コメント
DF 2 菊地 光将
Q:これで今季全日程が終了となるが、自身にとってどんなシーズンだったか?
チームが上を目指すということで獲得してもらったのに、あまり力になれずに残留争いになってしまいました。天皇杯でもっと上へ行ければ良かったのですが、終わってしまったのでまた来年、監督と一緒に一からやっていきたいと思います。
Q:シーズンを通じチームがタフになったと感じている点は?
自分は移籍1年目なので、以前のことはよくわかりませんが、最後の公式戦14試合を負けなしで来れたことはいいことでしたし、それをまた来年につなげていけるようにやっていきたいと思います。
Q:サポーターにメッセージを。
今日の試合は本当に申し訳ありませんでした。また来年、上を目指して頑張っていくので、よろしくお願いします。
チームが上を目指すということで獲得してもらったのに、あまり力になれずに残留争いになってしまいました。天皇杯でもっと上へ行ければ良かったのですが、終わってしまったのでまた来年、監督と一緒に一からやっていきたいと思います。
Q:シーズンを通じチームがタフになったと感じている点は?
自分は移籍1年目なので、以前のことはよくわかりませんが、最後の公式戦14試合を負けなしで来れたことはいいことでしたし、それをまた来年につなげていけるようにやっていきたいと思います。
Q:サポーターにメッセージを。
今日の試合は本当に申し訳ありませんでした。また来年、上を目指して頑張っていくので、よろしくお願いします。
MF 7 上田 康太
Q:久々の先発出場だったが?
楽しみな部分と、久しぶりだったので少し不安な部分もありました。でも、楽しくやれました。
Q:得点場面を振り返って。
ゴール自体はすごく良かったと思います。今日は「ゴールを取ってやろう」という気持ちが強かったので、それを結果として残せたのは良かったと思いますが、やはりチームが勝てなかったので、とても残念です。
Q:サポーターにメッセージを。
J1リーグ戦ではなかなかチームに貢献できませんでしたが、今日の試合でもたくさん声を掛けていただいて、すごくパワーになりましたし本当に感謝しています。ありがとうございました。
楽しみな部分と、久しぶりだったので少し不安な部分もありました。でも、楽しくやれました。
Q:得点場面を振り返って。
ゴール自体はすごく良かったと思います。今日は「ゴールを取ってやろう」という気持ちが強かったので、それを結果として残せたのは良かったと思いますが、やはりチームが勝てなかったので、とても残念です。
Q:サポーターにメッセージを。
J1リーグ戦ではなかなかチームに貢献できませんでしたが、今日の試合でもたくさん声を掛けていただいて、すごくパワーになりましたし本当に感謝しています。ありがとうございました。
我々は先週の川崎戦で、0-3の状況から4点を取るという逆転劇を起こしましたが、そのことからもハーフタイムに、「まだ試合は終了していないんだ」ということを選手たちに伝えました。しっかりと集中して、コンパクトさを保ち相手にプレーさせない、ということを求めて後半に臨みました。しかし、相手の攻撃に対して十分な対抗策を講じることなく、1対1の場面やクロスを上げさせてしまう場面が多くなり、相手に得点の可能性を与えてしまいました。もちろんそこには、選手の疲労もあったでしょう。もう1人交代の選手を使うという可能性もありました。もう1つのポイントとして、私が選手に求めている集中力は、長期間にわたって持続するのは非常に難しかったのか、とも思っています。我々にとって敗戦に値する試合だったということを、しっかり受け止めなければならないでしょう。
前半につかんだチャンスをしっかりと生かすことができていれば、3点目、4点目が可能だったでしょう。そういう点差をつけて前半を折り返していれば、後半の相手の戦う意思を削ぐことができたかもしれません。しかしそのチャンスで、2度も3度もオフサイドにかかり、得点につなげることができませんでした。そこはまだまだ改善しなければならないポイントです。最終的に試合に負けたわけですから、それに対して満足ということはもちろん言えません。しかし、必ずどちらかのチームが勝者となり、もう一方は敗者となるわけですから、この結果を受け止めて、次は我々が勝者となるべく、期待を持って挑んでいきたいと思います。
Q:ノヴァコヴィッチ選手の交代の理由は?ノヴァコヴィッチ選手がいなくなったことが攻撃が停滞した要因になったのではないか?
ノヴァコヴィッチ選手は太もものけがで交代せざるを得ませんでした。ですが、交代で入った長谷川選手が悪いプレーをしたとは思っていません。彼がボールを奪うシーン、または空中戦で競り勝つシーンもありました。もちろん、ノヴァコヴィッチ選手に比べれば得点の危険性は少し下がったかもしれませんが、だからと言って長谷川選手が悪かったとは思いません。
Q:自分たちの時間帯を作れずに終わった後半だったが、どんな狙いで臨んだのか?
後半、選手たちには追加点を取ることを求めて送り出しました。前半同様にコンパクトさを保ち、相手が攻撃的に出てきてオープンになったところを我々が使っていくということを求めました。しかし、コンパクトさに綻びが出て、十分なアグレッシブさを欠き、相手に十分にプレーさせてしまい、その中でセットプレーも増えてしまいました。
Q:「疲労があった」とのコメントだが、川崎戦の疲れか、それともシーズンを通しての疲労か?
我々のチームには、ほぼ全試合を通して出場している選手がいます。彼らは交代の利かない選手であり、そこを埋められる選手がまだ十分にいないというチーム状況の中で、厳しいシーズンを戦ってきました。非常に厳しい残留争いの中、高いモチベーションをずっとキープしたままリーグ戦を終えて、その時点ではかなり疲弊していて、それ以上を求めることが難しい選手もいました。そういう意味での疲労度が、原因の1つになったと言えると思います。