ゴールを守る新加入の守備陣に聞きました! ~金平莉紗 選手、戸梶有野里 選手、奥津礼菜 選手~
文・写真=早草 紀子
——では最初に自己紹介をお願いします。
戸梶有野里(以下、戸梶) INAC神戸レオネッサから来ました、GKの戸梶です。「みのり」と呼ばれていましたが、VENTUSにはすでにいるので(笑)、「トカ」、「トカさん」とか呼ばれてます。
金平莉紗(以下、金平) ちふれASエルフェン埼玉から来ました、金平です。「りさ」と呼ばれてます。よろしくお願いします。
奥津礼奈(以下、奥津) 奥津礼菜です。AC長野パルセイロ・レディースから来ました。「れな」って呼んでください。
——ここが私のいいところ! というプレーアピールをお願いします。
戸梶 実践から少し離れてしまっていたので今の自分がどれぐらいできるかはわからないんですけど、もともとは1対1が一番得意で…、痛いことが好きってわけでもないですけど、シュートストップのときに、飛び込むのが好きです(笑)。
金平 私は、サイド走ります! 全然スピードとか自信ない系なんですけど、CBをずっとやってて、EL埼玉に加入したタイミングで本格的にSBを担ったので、まだ自分でも探りながらですが、でも走ることは負けちゃダメなので、全力でやります!
奥津 クロスとかの攻撃参加が好きです。DF登録なんですけど守備より攻撃の方が好きなので、ずっと攻撃していたいです(笑)。
——一応、この3人は守備でカテゴライズさせていただきましたが…大丈夫でした(笑)?
奥津 あ! …大丈夫です。要は攻撃の時間が増えれば、ってことで(笑)。
——お互いの印象は?
戸梶 まだ自分は「奥津」って呼ぼうか「礼菜」って呼ぼうか迷っている段階ですが(苦笑)、さっきの話を聞いて「礼菜」って呼ぶことにしました。結構常になんか怖い顔してんなって思ってたので、喋りたかったんです(笑)。
奥津 あははは(笑)。でも、なんか歩き方とかもう含めて猫背だし、ガニマタだし、あのハの字眉毛だからか、あんまりいい第一印象を持たれないことは多いんですよね(苦笑)。
——そこはもう認めるんですね(笑)。
奥津 はい、そこはもう(笑)。だってそこからは下がることはないですから! マイナスに受け止めてないです(笑)。
戸梶 でも本当にタイムリーで、今日の練習で意外と喋りやすいと思いました(笑)。莉紗は家も近所っていうのもあったし、高校時代に兵庫県にいたってことで「そう言えばなんかちょっと見たことある」みたいな感じでわりとすぐに話せるようになりました。
——高校時代に接点があったんですか?
金平&戸梶 …多分(笑)。
——…薄いですね(笑)。
金平 多分、あれトカさんだろうなっていう…。
戸梶 そうそうそう(笑)。
——そんな金平さんから見た戸梶さんは?
金平 トカさんが人見知りだというのは、ちー(箕輪千慧)から聞いてました。自分も人見知りなので自分から話しかけにいきにくかったんですけど、なんか面白くて…(笑)。なんか明るいんですよ。だから今となっては気軽に喋りかけられます。礼菜さんは大学の先輩で、2年間一緒にやってたんですけど、そのときから相変わらず猫背で(笑)、でも当時は自分が1年生の頃の3年生なのでイジれなかった部分もあるんですけど、今は全然イジれます(笑)。
奥津 莉紗は後輩ですけど、いい意味で後輩らしくないんです。友達感覚の後輩だから、イジられても大丈夫です。
金平 よかった!
——これが自分のモットーだ! というものは?
金平 目の前の人には絶対負けないっていうのはモットーにしてます。あまりメンタルが強いタイプじゃなかったんですけど、負けたらどうしようとかを考えないようにして、とにかくチャレンジ! という精神でプレーしてます。
戸梶 自分は技術的な部分も大事ですけど、気持ち的に“楽しむ”っていうか、笑顔でいることがモットーです。正直サッカーを楽しいと思ったのが社会人になってからだから、“楽しむ”っていう気持ちがなければ、成長したいっていう気持ちも生まれなかったので、そこを大事にしてます。
——社会人になってから…。すごく長い時間がかかってる気がしますが、そんな長い時間楽しいって思えない中でも続けてこられたんですね。
戸梶 いや、もう3回くらい辞めてます(笑)。何回かクルっと周って、20歳超えてからやっと楽しめるようになりました。当時のチームが選手主体でやるチームで、どんなサッカーをしたいか、イチから自分たちで考えて作っていって、そういうみんなとのすり合わせしていくうちに楽しくなりました。
奥津 自分も楽しむことを大事にしてます。ネガティブな一面もあるんですけど、サッカーだけに限らずに、結構楽観的に物事を考えたいタイプなので、強い相手や、マッチアップする人がうまかったりしても、どうしようどうしようって思っても物事は変わらないから、どうせなら楽しもう! って思ってます。
——自分のポジションにおけるマストスキルは何だと思いますか?
戸梶 信頼感! やっぱりI神戸でなでしこジャパンの山下(杏也加)選手とやってて感じたんですけど、DF陣は信頼しきってる。どれだけ前に攻略法がなかったとしても最終的にはGKがいるから大丈夫っていう気持ちがあるなって。そういうのを目の当たりにしてると信頼感は本当に大事だって思いました。
金平 礼菜さん、サイドの大事な要素ってなんですか?
奥津 ん~…SBって、相手の前線の守備からしたらハメていく場所じゃないですか。そこをポジショニングやパスの質でどうかいくぐるか。攻撃も同じでポジショニングだと思います。
——あ、金平さん、「私もそう思います」はナシでお願いします(笑)。
金平 え! まあ…ですよね(笑)。ポジショニングも大事! で…守備に関しては相手のサイドハーフとかでハメるので自分たちのSBとの勝負になる。どう駆け引きしてそこに出させるかとか、っていう駆け引きは重要だと思います。
——VENTUSに入って少し月日も経ちました。どんな雰囲気ですか?
戸梶 仲がいいっていう話は聞いてたんですけど、実際入ってみて一番驚いたのが“タメ語”です。サッカーのときのタメ語は普通だと思うんですけど、プライベートでも年下の選手が(仲田)歩夢さんとかに普通にタメ語で話してて、ビックリしました(笑)。
金平 いい意味で年の差を感じないですよね。自分も結構上の人に敬語まじりのタメ語使いますけど、フラットなタメ語とかをあまり耳にしてこなかったので、すごいなって。
奥津 明るさはもう前提で、それはもう核であるんですけど、その雰囲気のままグラウンドに立って、すごくサッカーに熱いというか、“プロ集団”だなって感覚をピッチ上で感じました。
——一番熱く感じる人って誰ですか?
奥津 (乗松)瑠華さん。普段はフレンドリーに喋りかけてくれて、そこもビックリしたんですけど…、でも一緒にプレーしてみて、こんな声掛けしてるんだっていうのを感じました。プレスの強度って、そこにかかる声の質で変わる。言葉では伝えにくいんですけど、瑠華さんの声って自分が行かなきゃ! って思わせてもらえる。自分もその雰囲気に乗れて、プレーできたので、真似してみようかなって思います。
戸梶 ここで取りたいんやなっていうのは、後ろから見ててもわかる。それを端的に伝えてて、周りもついてきてる。やっぱり質がいいのかなと思います。
——クラシエカップ開幕まであと少し。新しいチームを作っていく上で、クラシエカップまでに自分のこういうところを少しでも高めたいところ、そして意気込みをお願いします。
戸梶 自分が求めるポジショニング…、例えばクロス対応、ここだけには居てほしいっていうところや、逆にここまでは出てきてほしいっていうのをすり合わせていきたいです。今シーズン最後にみんなで笑顔で終われるように、全力でチーム一丸となって、頑張りますので、熱い応援をよろしくお願いします。
金平 1日でも早くみんなの特長をもっと理解することと、自分のプレーもみんなに理解してもらうことはやりたいです。一つでも多くの試合を勝って、皆さんとより多く勝利を分かち合って笑い合えるように全力で頑張るので応援よろしくお願いします。
奥津 クラシエカップまでというより永遠の課題なんですけど、1対1の守備を頑張りたいです。一番欲しいのはアジリティ。シーズン中にはそういう場面を見せられるようにしたいです。まだVENTUSに来て間もないですけど、自分の良さをより早く知ってもらえるようにピッチで表現できるように頑張りますので、熱い応援よろしくお願いします。
早草 紀子(はやくさ のりこ)
兵庫県神戸市生まれ。東京工芸短大写真技術科卒業。1993年よりフリーランスとしてサッカー専門誌などへ寄稿する。女子サッカー報道の先駆者であり、2005年から大宮アルディージャのオフィシャルカメラマンを務める。