新年恒例! 書初め ~乗松瑠華&中村菫が達筆披露~

2025年一発目のデジタルVAMOSは乗松瑠華 選手、中村菫 選手による書初め企画です。二人の距離感がわかる賑やかな書初め空間でした。書初めに託された想いを熱く楽しく語ってくれています。

—では、サッカー面、プライベート面で2025年の目標に掲げるものを書いてください!
中村菫(以下、中村) 実は、ひいおばあちゃんが書道の先生だったんですよ。直接教わってはいないんですけど、教わってた母に小学校の書道のときいろいろ指導されたな~。

乗松瑠華(以下、乗松) え、ズル! なんか、緊張する~。(首傾げながら)あれ?

中村 なんか、線細くない?ってか、書き順違うんだけど(笑)。

乗松 え、うそ! ちょっとスマホで調べよう…。あ! これ良い! (スマホで「毛筆、料理」で検索し見事お手本をゲット)

中村 いいな…。でも私はDNA的に自力でいきます! でもルカさん、なんで半紙を斜めにして書いてるの?

乗松 書きやすいから。え?すー、字うまいね。さすが先生!

中村 先生ではない。その孫、だから!

—まず乗松選手から書初めに書いた想いを教えてください。プライベート面では「料理」と書きましたね。
乗松 料理は好きで毎日作りますけど、レパートリーが同じになってくるので、今まで作ってないものを作ってみたいです。VENTUSは実家暮らしじゃない人はほぼ自炊なので、最近メニュー調査してます。いろんな人に「今日何食べるの?」って聞いて、その中から作るモノ選ぶ。レシピはSNSで検索すればいっぱい出てくるので問題ないじゃないですか。ちょっと料理教室にも興味があります。

中村 私、おじやしか作れない…。(実家暮らし)

乗松 それ、風邪のときの食事(笑)。この前、本気出してウチでなんちゃって居酒屋やったの、めっちゃ楽しかった! 下準備をして、お品書きも作ったんです。自分と(仲田)歩夢でメニュー考えて、字は歩夢が書いた。ナスとピーマンの煮浸しは前の日から作ったし、アボカド料理とか、出なかったけど出し巻卵とか…、チーズフォンデュは失敗した(笑)! 居酒屋風な構えは最初だけ沸くんですけど、だんだん面倒くさくなって料理は一気に出しちゃいました(笑)。

—中村選手は「大学合格」。実は受験生でもあるんですよね?
中村 今、一浪して早稲田大学のeスクールを目指してて、ここのいいところは全日制ではなく通信制なので、自分の好きなタイミングで勉強ができるんです。自分は午前中練習があるので、午後を有意義に使いたくて選びました。1月にキャンパスで面接があるんです。意外と得意なんですよ、面接!

乗松 面接に得意とかあんの(笑)?

中村 あります!

—そしてサッカー面で、乗松選手が書いたのは「デュエル女王」。
乗松 個人の目標として数字的なものってわかりやすいので選びました。すべての要素でランク上位に入りたいけど、強いて言うなら「デュエル」かな、と。やっぱりチームを作るのは“個”だから。昨シーズンは2位だったので…。終盤ダメだったからなぁ。

中村 ドンマイ!


—中村選手は「目指せ代表」でした。
中村 自分は、中学生の頃まではJFAエリートプログラムに呼んでもらってたんですけど、高校に入ってからは呼ばれなくなって悔しかったんです。エリートで一緒にやってた人たちはクラブチームで活躍してたんですけど、自分はいわゆる“高校サッカー”。違う環境でも代表に呼ばれる選手になりたかったけど、それは叶わなかった。今、WEリーグでプレーしていることを自分の力に変えて、世代別代表に選ばれたいと思ってます。そのためにはまず試合に出てクリーンシートをしないといけないし、(今村)南海さんとトカ(戸梶有野里)さんに勝つ! ってところから頑張りたいです。

乗松 確かに、視察してる人の目に留まる機会が高校だとあまりないっていうのはあるよね。まず見てくれる環境にいることが大事で、WEリーグでしっかりプレーできてたら声がかかる可能性は十分あると思うよ。だってエリートに呼ばれてるってことは、すでに知ってはもらえてるわけだしね。

—そのためにもWEリーグ後半戦での巻き返しが必要です。ここまでの戦いを振り返ってください。
乗松 戦っていくにつれ、より難しさが増していった前半戦でした。やっぱり…、点が入らないことが響いた。最初の方はボールを握れたり、決定機も作れたりしていて、勝ててはいないけど、「できてる」「ちゃんと積みあがってる」という感覚が確かにあったんです。でも勝てないことが続くと、そこに自信がなくなってきてました。

中村 自分は試合を見てる立場ではあったんですけど、自分たちも苦しいなって思ってました。みんなで一生懸命、勝点3を取るために練習して臨んでるのにそれが取れなくて…。もったいないし、心苦しい時間が続いてしまった感じです。

—苦しい中で、お互いのプレーはどう映っていたのでしょうか?
中村 ルカさんはキャプテンで、鼓舞する声をすごくかけてました。守備ではここにいってほしい、という要求や、時には「強くいけ! 」っていう声を聞くことが多くて、そういうところは尊敬してます。

乗松 そういうところ“は”の“は”が気になる(笑)。なんか悪いぞ、すー!

中村 あれ?私、間違った?いや、ルカさんはいつも面白いんです。時々「すー!! 」ってめっちゃ怒ったような顔で近づいてきたかと思ったら「ツムツム、更新! 」とかめちゃくちゃしょうもないことだったりするので、驚かされてます(笑)。

乗松 最近はやってないけど、いっときライバルだったので。すーはルビー持ってるくせに使わないんだよね。

中村 ルカさんはルビー使っても、自分と僅差だよね。

乗松 …。話戻そうか。すーはカップ戦で試合に出たとき(第6節・AC長野パルセイロ・レディース戦)、もっと思い切りやればいいのにどこか無難になってた。後ろの選手だからやっちゃいけないプレーはもちろんあるんだけど、すーにしかできないプレーがあるからこそ、「自分を出してけ! 」って試合中にも言ったよね。足もとに技術があって、前からプレッシャーが来ててもしっかり足元にボールを突けることができる。もっともっとすーのプレー出していってほしいなって思います。

中村 緊張はしてなかったんですけど、あの試合はトカさんがちょっと脳震盪気味になっちゃってハプニングがあったんですよね。人一倍アップして、「やってやるぞ! 」って気合い十分で臨んでたんですけど、押し込まれる時間が多くて、ピッチ状況も悪くて…。そういうのを考えてたら雰囲気にのまれてしまった。自分らしさは出せなかったです。

乗松 でも性格からくるものじゃなくて、経験値の問題だから、それはすぐ追いつくよ。気持ちの持ちよう、一つのプレーで状況は変わるかもしれないから、それをやって自分のメンタルの整え方を学んでいくもの。それは自分にしかわからないことだから。

—嫌な流れになったとき、ピッチ上では無理やりにでも気持ちを切り替えることも必要になってきますが、お二人はどうしてるんですか?

乗松 そういうときって楽しくないじゃないですか。だから楽しいミニゲームをやってるような感覚に持っていきます。自分でボール呼び込んで、どんどん動かすいいときのイメージを持ってやるようにしてます。

中村 自分の場合は試合中、かけられた声を真に受けすぎるところがあるんです。それで委縮してしまいそうになるときは、いったん自分の得意なプレーはなんだ?って問い直して、いいプレーを見直します。自分はロングキックでシーンを逆転させるのが得意だから、飛び出すタイミングがバッチリで相手よりも先にボールを触れて、ブレイクアウェイとかできたときはうれしい! それができたら周りからも認められると思うし、気持ちも切り替えられます。

—中断期間はシーズンのなかで“切り替え”ができる重要な期間です。後半戦へ巻き返すために、どう臨みますか?
乗松 チームの雰囲気作りのところで、中断に入る少し前に2週間開いたときがあったんですけど、そこでトレーニング強度も高くて、球際、運動量もそこで高めた。だから負けてはしまいましたけど、サンフレッチェ広島レジーナ戦では90分とおしてハイプレスができたと思うんです。陣地を取れた方が絶対にいいので、90分通して背後は狙い続けた。頑張るところで頑張れる土台はできてきたけど、その頑張り方…。一個余裕を持たないといけないところとか、そのスピードで戻ってきた方がよかったのか、そのスピードで裏に抜けた方がよかったのかとか、7割くらいの方がいいときもある。そういう駆け引き、見極めが必要。高い強度の中でのその判断が大事だと思う。そこがズレるといくとこまでいっちゃって失点しちゃったりもする。みんながみんな一生懸命になり過ぎてて、その感覚が足りないのかなって感じました。

中村 前半を振り返って思うことがあって…、失点シーンがほとんどセットプレーだった。クロスからのこぼれ球を狙われての失点がかなり多かったので、練習中もマークの付き方とか、試合前もセットプレーの練習もして、いい形は作れているのにそれが試合で再現できなくてもったいないシーンが多かった。そこをまず改善する! もっと危機感を持っていかないといけないなって改めて感じてます。

—苦しい中から突破口は見つけているんですね。後半戦の巻き返しを期待しています!
中村 セットプレーで失点すると士気が一気に下がっちゃうんですけど、でもそこでの失点を防げれば、ハイプレスでいけてる分、もっと自分たちのプレーができるんじゃないかなって思ってます。

乗松 S広島R戦の強度をベースにして、この中断期間では判断、見極めのところをしっかり全員で上げていきたいです。そうしたらもっとボールを握れるし、ゴールも奪えるシーンが増えると思います。巻き返します!


早草 紀子(はやくさ のりこ)
兵庫県神戸市生まれ。東京工芸短大写真技術科卒業。1993年よりフリーランスとしてサッカー専門誌などへ寄稿する。女子サッカー報道の先駆者であり、2005年から大宮アルディージャのオフィシャルカメラマンを務める。

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